教育ログReflection Diary

家族としての医療者のケア

40代女性の癌終末期のケアを経験しました。

患者さんの夫は医療職でした。私は患者さんの夫を家族メンバーというよりは一人の医療職として接するようにしました。それが患者さんの夫を尊重する行為だと思ったからです。
しかし、そうしたことで彼は私たちの前ではものわかり良く、冷静な人物として振舞わざるをえなかったのかもしれない、と振り返りで気づきました。
医療者が家族になったときにどう接するべきか、ということについてFAST FACTsに記載がありました。

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#131 The Physician as Family Member Robert Arnold MD
医師の家族は、他の家族と似ているようでいて、異なっていることを認識する。 彼らは愛する人の病気に対して、激しく複雑な感情を抱いている可能性が高い。医師の家族(患者家族としての医師)は、他の家族と同様に扱われる必要がある。彼らはあなたの専門知識、指導、感情的なサポートから恩恵を受ける。 一方、医師の家族は、高度な情報を持ち、積極的な「消費者」でもある。彼らは他の家族よりも多くの医学的管理と情報を求めている可能性がある。

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医療職であっても、いち家族としての感情を出せるように、どう扱ってほしいかを頻回に確認することが重要、との記載もありました。

今では「夫として、今の感情を教えてください」「父親としてお子さんのことで心配なことは何ですか?」など立ち位置をずらすような問いをもっとしておけばよかったと考えています。

今後、患者さんの家族が医療職だった時には、いち家族として接することを基本としつつ、相手が医療職としてふるまっているときには、必要な情報提供を行う、ということを意識していこうと思います。

Reference
1)Robert Arnold, #131 The Physician as Family Member, Fast Facts
飯塚病院 連携医療・緩和ケア科(短期研修中)
松本翔子
福岡県出身。2010年山口大学卒。初期研修を宇部協立病院で行い、そのまま同院の家庭医療後期研修へ。2015年から出雲家庭医療学センターで研修し、中小病院で働く家庭医を目指すようになる。2017年から山口大学総合診療プログラムに所属。ポートフォリオディスカッションが大好物です。
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