教育ログReflection Diary

Dual Process Theory(2)

先日に引き続き、Dual Process Theoryについてです。
テキスト(1)にはDual Process Theoryについて下図のような記載があります。

例えば、夜2時頃に道端で倒れていた30歳くらいの男性がいるとします。手元にはビール缶があり、嘔吐物もあります。意識障害があり、救急搬送されました。
みなさんだったら、まず直感的に「急性アルコール中毒」と考えるのではないでしょうか。これがType1の思考です。しかし、この人を診察しているときに片麻痺があることがわかったらどうでしょう?急性アルコール中毒の典型的な症状ではありませんよね。Type1では誤診しそうなので、もしかしたら意識障害のアプローチとしてAIUEOTIPSを唱えながら検討しなおすかもしれません。これがType 2の思考です。 

この事例のように、実臨床ではType 1とType 2をいったりきたりしながら臨床推論を行なっていきます。この過程が診断の質を高めるために重要とされています。

2回に分けて, Dual Process Theoryについて説明しました。経験が豊富になるほどType1の精度があがりますが、研修医の先生はまずはType2を意識して学んでいきましょう。

Reference
(1)Nicola Cooper, John Frain(編集), 宮田靖志(監訳), ABC of 臨床推論 診断エラーを回避する, 羊土社, 2018.
宇部興産中央病院 総合診療科
下川 純希
山口県岩国市出身。2015年山口大学卒(緊急医師確保対策枠)。初期研修を沖縄県で修了した後に山口県に戻り、当プログラム一期生として総合診療研修を修了。病院での家庭医療を実践を通じて、後進育成に取り組んでいる。好きな言葉は「なんくるないさー」
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