教育ログReflection Diary
吃逆の薬物治療
さて、今回のテーマは吃逆(しゃっくり)の薬物治療についてです。そもそも、吃逆(しゃっくり)というのは、元々「しゃくりあげる」という言葉が音便化したものだそうです1)。英語では「Hiccups」といいます。
吃逆は持続時間で3つに分類されます。48時間未満のものを吃逆発作、48時間から1ヶ月間継続するものを持続性吃逆、1ヶ月以上持続するものを難治性吃逆といいます2)。みなさんも経験したことのあるように、短時間であれば特に問題はなく、原因の評価を必要としないことが多いですが、持続性吃逆・難治性吃逆では原因検索を検討します。
UpToDate®️によると、吃逆の薬物治療として、以下の記載があります1)。
・If an etiology for hiccups is identified and is amenable to medication, a medication from the appropriate drug class should be chosen. For example, if GERD is recognized, a proton pump inhibitor (PPI) should be initiated.
・If a treatable cause for hiccups is not identified, medication may be used empirically. We suggest use of a PPI as empiric therapy and trial other agents if this is unsuccessful. However, it may also be reasonable to choose baclofen, gabapentin, or metoclopramide as first-line therapy.
原因が明らかであればその治療を、原因疾患が明らかでない特発性の吃逆に対しては、PPIやバクロフェン、ガバペンチン、メトクロプラミドが薬物治療になります。他にも非薬物治療(息こらえ, 冷水を飲む, 前かがみなど)もありますが、効果を十分に示せた研究はないようです。
UpToDate®️以外にも、J Hospital Networkに吃逆についてまとめられているスライド3)があります。日本語できれいにまとめられていて、大変勉強になりますね。
・吃逆は多くは一過性。持続するようなら器質的疾患の検索も検討する。
・吃逆の薬物治療はPPI、バクロフェン、ガバペンチン、メトクロプラミドの選択肢がある。
2) UpToDate®️:Hiccupps 2021年9月5日access
3) 森本優佳子, 辻本泰貴, 官澤洋平, 世戸博之, 吃逆, J Hospitalist Network Clinical Question, 2017年10月16日